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南アルプス子どもの村小学校・中学校の見学会に参加しました
2025年10月1日に、南アルプス子どもの村小学校・中学校の見学会に参加しました。
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▲選挙チェンジチャレンジの会の議員仲間とともに
この学校の特徴は、少人数・混齢学級での探究型学習、教科を横断したプロジェクト、自然や地域とのつながりを重視し、一人ひとりの個性と主体性を尊重する教育を行っていることです。
10年以上前にこの学校のことを知り、「自分に子どもが出来たらこんな学校に通わせたい!」と強く感じたことをよく覚えています。
結局つくば市にUターン移住し、距離的な理由から自分の子ども達を通わせることは出来ませんでしたが、それでも市議として「現地でどのような教育が行われているのか、実際にこの目で見て、つくば市の教育をより良いものにするヒントを得られれば!」と思い、見学会に参加させていただきました。
以下、現地で撮影した写真とともに見学内容をご報告します。
※写真はクリックすると拡大表示されます。
小学校
時間割
「自由選択」の時間は、以下の中から好きなものを自由に選ぶことができます。
- 各項目の右下にあるニックネームは、担任の先生を指しますが、この学校では上下関係を作らないために「先生」とは呼ばず、「おとな」「子ども」という表現を徹底しています。「おとな」は「子ども」から「あべちゃん」などのニックネームで呼ばれています。
- 「机づくり(6年生)」とあるのは、毎年6年生になると、中学校に進学してから自分が使う机を自分で作る必要があるから、とのことです。
金曜日は国際性を育むことができる選択肢が用意されています。
プロジェクト
プロジェクトをベースに、1年生から6年生まで縦割りのクラス分けを行っています。
子ども達は、興味のあるプロジェクトを選択し、1年間そのクラスで過ごします。
プロジェクトの種類は以下の5つです。
クラフトセンター(建築、木工など):「ものづくりをとおして自分たちの暮らしを考える」
おいしいものをつくる会(料理、農業など):「料理を思う存分に楽しみ、人のくらしを考える」
劇団みなみ座(劇、表現など):「体全体で自己を表現し、気持ちを解放させる」
わくわくファーム(羊養育、糸、布など):「羊の成長とともに、毛糸を紡いでくらしをさらに楽しく豊かにする」
ひらめ木工房(おもちゃづくり・木工・園芸など):「ものづくりと大工仕事をおもいきり楽しみ、生活をゆたかにする」
その他
1階には広い廊下と沢山の本棚があり、リラックスして過ごせる空間になっています。
ちなみに、この部屋は職員室ですが、子ども達が中で楽しそうに過ごしているのが印象的でした。
廊下の一角にはけん玉コーナーもあります。
イヤーマフも備え付けられています。
説明書きが分かりやすくてとても良いなと思いました。
ここは食堂兼ミーティングルームです。
2階のベランダには、子ども達の手作りのベンチが置いてあります。
中学校
中学校は小学校のすぐお隣。渡り廊下で繋がっています。
1階
入るとすぐにこのようなポスターが沢山掲示されていました。
見学時には、1階中央にある以下のスペースに子ども達が集まり、数学や英語などの参考書を読みながら、それぞれに学習を進めていました。
子ども同士で教え合ったり、問題を出し合ったりする姿が印象的でした。
その他、以下のような部屋が1階にありました。
2階
2階にも中心にこのような学習スペースがあり、その周りの本棚には数多くの本が置かれています。
中学生のプロジェクトは、劇団カメレオン、ものづくり研究室、ゆきほたる荘、くらしの歴史館の4つです。
くらしの歴史館では、食材を自分達の力で手に入れ、自分達で料理を作る「0から食堂」を企画しています。
校庭で育てているニワトリが産んだ卵です。
冷蔵庫に沢山保管されており、見学者は購入することが出来ます。
部屋の中には、子ども達が小学校6年生のときに自分で作った机が並べられています。
その他
階段の壁には、2025年の参議院議員選挙の立候補者の公約と選挙結果をまとめたポスターが貼り出されていました。
全校ミーティング
南アルプス子どもの村小学校・中学校では、毎週水曜日に小・中学校の子ども達とおとな達が集まって全校ミーティングを実施しています。
子どもが議長としてミーティングを進行し、子どももおとなも同じ1票を持ちます。
見学時には、子ども同士の嫌がらせのこと、イベント開催のこと、持ち物の紛失のことが議題として挙げられていました。
どんな問題が起きても、みんなで考えてみんなで解決する、それを通じて民主主義的な意思決定のあり方を子ども達が学び取っていることが、とてもよく伝わってきました。
小学校低学年の子も臆せず積極的に発言し、議長役の中学3年生の子がそれぞれの意見を丁寧に汲み取りながら進行していたことも、本当に素晴らしいなと感じました。
小学校の廊下に「ミーティングボックス」が置いてあり、そこに投稿された内容が議題となります。
過去の全校ミーティングの結果、出来上がったルールは以下の通りです。
既にあるルールでも、改廃が必要という意見が出た場合には、全校ミーティングで再度話し合いをするそうです。
外観等
軒下には、作業用の長靴がズラリ。
こちらの渡り廊下のコンクリートは、子ども達の力で敷設したのだそうです。
食堂の外にある屋根付きバルコニーも、食堂内のスペースが狭いので子ども達が増設したそうで、本当に凄い技術力だと感じました。
校庭
校庭には子ども達が作った造作物が沢山!
こんな建物も子ども達の手で作ってしまうのだそうです!
こちらは、中学生のくらしの歴史館プロジェクトで使用する「0から食堂」の建物を、中学生が自力で建てたものです。
校庭の端の方では、沢山のニワトリが元気よく駆け回っていました。
このニワトリが産んだ卵を「0から食堂」で使用します。
羊も飼育しており、羊毛を小学校のわくわくファームで活用しています。
所感
1年生から6年生まで、縦割りのクラスで行うプロジェクトでは、子ども達が誰かの役に立つ「活動的な仕事」を通して、社会で生き抜いていく力を身に付けていっていることがよく伝わってきました。
AIが台頭する現代社会において、知識の丸暗記ではなく、自由な発想で自分の力で何かを生み出すことができるスキルは非常に重要であり、社会に求められている教育であると感じました。
また、「教える教育から子どもにまかせて待つ教育(教えない教育)へ」という学校の方針通り、おとな達は基本的に教室の隅の方で子ども達の様子を見守り、必要に応じてアドバイスをするだけでした。
だからこそ、子ども達は自分達で考え、行動できるようになっていく。
その教育の成果は、全校ミーティングでの話し合いの様子や子ども達が制作した作品の数々を見て感じ取ることができました。
つくば市では2026年4月から、栗原小学校と谷田部南小学校の2校で小規模特認校制度を導入し、両校では少人数を生かして、イエナプランの理念を取り入れた、体験・探究を通して学び、日々成長が実感できる学校を目指す方針です。
今回、南アルプス子どもの村小学校・中学校で見学させていただいた内容は、それらの学校の教育にも活かせる要素が多々あり、市議として非常に勉強になりました。