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つくば市立竹園東小・中学校の難聴学級を視察しました

2024年5月8日に、つくば市立竹園東小学校・竹園東中学校における難聴児支援の取組を視察させていただきました。

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※視察時点において、茨城県内で難聴学級がある小中学校は竹園東小学校・竹園東中学校の2校のみとのことです。



竹園東小学校における難聴児支援

すずらん学級(難聴学級)

  • 1998年4月開設
  • 視察時点で9名在籍、2学級体制(4名・5名)
  • 通級生1名(他校に在籍している児童が週に1時間程度すずらん学級に通級)
  • 難聴に特化した自立活動や教科指導を実施
  • 個別指導中心の少人数教育

視察時には、2つの学級の自立活動を見学させていただきました。

教室1では、ロジャー(デジタルワイヤレス補聴援助システム)の使い方について学習していました。

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↑自分でロジャーを使いこなせるよう、設定の方法などを学んでいました。

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↑周囲の理解や協力を得るためにはどうすれば良いかについてもしっかりと教えている点が印象的でした。


教室2では、クラスの発表会に参加するときにどんな工夫が必要かについて学習していました。

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その他、すずらん学級には、聴力検査室と聞こえの相談室が併設されていました。

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↑聴力検査室

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↑聞こえの相談室


交流学級

すずらん学級に在籍する児童は、通常学級で授業を受けることもあり、その際にはロジャーと要約筆記による支援を行っています。

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↑担任の先生はロジャーの送信機を身につけています。

【ロジャー(デジタルワイヤレス補聴援助システム)の仕組】
送信機のマイクで音を拾って電波で飛ばし、受信機もしくは受信機のついている補聴器を介してその音を直接耳に届けます。
これにより、騒音が大きくても、距離が離れていても、反響の大きい部屋でも、発話者の声が聞き取りやすくなります。

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↑教室の後方では、支援員さんが要約筆記を行っています。

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↑要約筆記の内容は、児童の手元にあるスマートフォンの画面に表示されます。


竹園東中学校における難聴児支援

青空学級(難聴学級)

  • 2002年4月開設
  • 視察時点で1名在籍
  • 難聴に特化した自立活動や教科指導を実施

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視察時には在籍生は通常学級での授業に参加中であったため、青空学級における学習を見学することはできませんでしたが、中学校ならではの取組としては、通常学級よりも早い段階で高校受験について考える機会を設けたりしているとのことです。

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↑青空学級内には聴力検査器が設置されています。


交流学級

青空学級に在籍する生徒は、通常学級で授業を受けることもあり、その際にはロジャー、要約筆記および青空学級の担任等による支援を行っています。

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↑グループ学習時には、ロジャーの送信機をグループの机の真ん中に置きます。
それにより、他のグループの声がする中でも、自分のグループの発話者の声が聞き取りやすくなります。
(それに加え、青空学級の担任の先生が傍で適宜サポートを行っていました。)

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↑教室の後方では、支援員さんが要約筆記を行っています。
その内容は、児童の手元にあるスマートフォンの画面に表示されます。(前掲写真を参照)


所感等

難聴学級での自立活動でとても印象的だったのが、自分の聞こえの困難さをどうすれば乗り越えることができるのかを学び、自分の力で周囲の理解や協力を得ていくスキルを身につけることができるよう支援しているという点です。

また、難聴学級で習得したスキルを交流学級で実践することができるため、難聴児が生涯にわたって役立つ力を養うことができる場であると感じました。

視察を受け入れてくださった竹園東小学校・竹園東中学校の先生方、そして児童生徒の皆さん、本当にありがとうございました。